未登記の増築がある家、登記してから売るべき?査定前に見る3点

那覇市の住宅街にある築年数の経ったRC造住宅

売却する家の登記事項証明書を見たら、実際の建物より床面積が小さい。昔の増築が登記されていないようです。

この場合、先に登記を直さなければ、不動産会社へ相談することもできないのでしょうか。

結論は、査定相談を止める必要はありません。ただし、未登記のまま売り出す前に、登記と現況の差を特定します。

今回は、未登記増築がある家を「登記してから売るべきか」という一つの判断に絞ります。

目次

最初に見るのは、床面積だけではありません

建物の登記記録の表題部には、所在、家屋番号、種類、構造、床面積などが記録されます。増築で物理的な状況が変わったのに登記が更新されていないなら、現況と公示内容に差があります。

まず、登記事項証明書の構造、階数、各階の床面積を、現在の建物と照合します。増築部分が母屋と一体なのか、離れや物置のように独立しているのかも確認します。

外から見ただけで正確な床面積や登記方法を決めることはできません。建築確認図面、固定資産税の資料、工事時の図面や領収書が残っていれば集めます。

未登記増築の可能性を確認するため登記事項証明書と現在の建物を照合する図
構造、階数、床面積の差を確認し、推測で増築範囲を決めません。

表示に関する登記は、原則1か月以内の申請義務があります

法務局は、不動産の表示に関する登記について、原則として物理的状況が変わった日から1か月以内に申請する必要があると案内しています。増築で床面積や構造などが変わった場合は、建物表題部変更登記を検討します。

建物の表示に関する登記を代理する専門家は、土地家屋調査士です。所有権移転や抵当権など権利に関する登記を扱う司法書士とは、担当する領域が違います。

古い増築では、工事日や図面が分からないこともあります。その場合も「資料がないから登記できない」と自分で結論を出さず、土地家屋調査士へ現地調査に必要な資料、費用、期間を確認します。

固定資産税を払っていても、登記の確認は別です

那覇市は、未登記家屋について法務局で登記手続きが必要だと案内したうえで、未登記家屋を増築・一部取壊しした場合の課税台帳の表示変更届も設けています。

つまり、市の固定資産課税台帳と法務局の登記記録は、同じ手続ではありません。増築分の固定資産税が課税されているから、登記も更新済みとは限りません。

納税通知書や課税明細は、現況を確認する手がかりの一つです。登記事項証明書と並べ、どの資料が一致し、どこが違うかを整理します。

先に登記するかは、買主と売り方まで見て決めます

通常の仲介で住宅ローンを使う買主へ売る場合、登記と現況の不一致は、金融機関や買主の確認事項になり得ます。先に表題部変更登記を終える方が、説明と手続きを進めやすい場面があります。

一方、建物を解体する前提の買主や、現況を調査したうえで買い取る事業者へ売る場合は、売買と登記手続の順番を個別に組めることがあります。

だからこそ、最初の査定前に高額な手続きをすべて終えるのではなく、差の特定、土地家屋調査士の見立て、買主条件を並べて判断します。未登記である事実を隠したり、床面積を登記どおりだと説明したりするのは避けます。

未登記増築がある家で差の特定から売り方を比較するまでの順番
先に費用をかける前に、登記手続と買主条件を同じ表で確認します。

未登記だから価値がない、とは決めません

沖縄では土地価格が上昇している地域もあります。未登記増築があるから、土地も建物も一律に値下がりするわけではありません。

ただし、建物を残して使えるか、増築部分が法令や融資の確認でどう扱われるか、登記にいくらかかるかは別の判断です。土地の価値と、建物・手続の不確実性を分けて査定します。

書類不足の論点は、検査済証がない家の売却でも整理しています。検査済証の有無と未登記増築は別問題なので、混同せず確認します。

登記と現況の差が分かる段階から相談できます

まぶい不動産では、未登記増築がある物件について、まず登記事項証明書、現在の建物、残っている図面、売却希望時期を整理します。

登記申請の代理は土地家屋調査士の領域です。不動産として先に何を調べ、どの売り方なら比較できるかを切り分けます。

未登記増築がある家の売却順を相談する


参考資料
法務省「不動産登記のABC」
法務局「登記の申請を御検討されている皆さまへ」
法務局「不動産登記申請手続」
那覇市「未登記家屋の届出」

この記事を書いた人

田端 宰のアバター 田端 宰 まぶい不動産代表

まぶい不動産代表|訳あり不動産の専門家
5年間、法律事務所の相続分野での経験をもとに、「住まいの再出発」をサポート。沖縄の相続によって空き家になってしまった不動産を中心に、他社が敬遠する困難な現場の原状回復における責任者を務める。現場で培った知見をもとに、訳あり不動産に関する法的な注意点について解説。不動産価値の毀損を最小限に抑える独自のサービスを展開。特殊清掃から、空き家の売却活動まで一気通貫したサポートを行なっている。

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