共有者と連絡が取れない家は売れない?待つ前に分ける3つの状態

共有名義の家を売りたい。でも、共有者の一人と連絡が取れない。
この場合、全員がそろうまで何年でも待つしかないのでしょうか。
先に確認するのは、相手が「反対している」のか、「住所や生死を確認できない」のかです。同じ連絡不能に見えても、売却の進め方はまったく違います。
今回は、共有持分の相場ではなく、連絡不能の共有者がいるときに、裁判所の制度を検討する前の切り分けだけに集中します。
結論:売却相談の前に、連絡不能を3つに分けます
家全体を通常の売買で売るなら、共有者全員が自分の持分を処分する意思を示すのが基本です。多数の持分を持つ人だけで、他人の持分まで売ることはできません。
ただし、「返事がない」だけで所在等不明共有者とは決まりません。まず次の3つに分けます。
- 住所は分かるが、返事をしない・売却に反対している
- 住所や連絡先を調べても所在が分からない
- 亡くなっている可能性があり、相続人や登記が整理されていない
1は合意形成の問題、2は所在等不明共有者の制度を検討し得る問題、3は相続関係の調査です。ここを混ぜると、必要のない裁判手続や持分売却へ急ぎやすくなります。
「住所を知らない」と「所在を知ることができない」は違います
改正民法には、裁判所の決定により、所在等不明共有者の持分を取得したり、その持分を第三者へ譲渡する権限を得たりする仕組みがあります。
ただし、単に電話へ出ない、親族が住所を知らない、話し合いを拒否された、というだけで直ちに使える制度ではありません。登記や住民票など必要な調査をしても、氏名や所在を知ることができない場合に検討する裁判手続です。
相手の住所が分かっていて売却に反対しているなら、「所在不明」の制度で反対を飛ばす話ではありません。交渉、共有持分だけの処分、共有物分割など別の選択肢を専門家と比べます。
第三者への譲渡制度は、家全体を売る場面の制度です
法務省資料では、所在等不明共有者の持分を第三者へ譲渡する権限の付与は、ほかの共有者全員が同じ買主へ持分全部を譲渡することを条件としています。
つまり、不明者の持分だけを切り出して第三者へ売るための近道ではありません。買主を特定し、裁判所の手続を経て、供託や期間なども検討する必要があります。
さらに、所在等不明共有者の持分が共同相続人間で遺産分割すべき相続財産に属する場合、相続開始から10年を経過していないと、この譲渡権限の裁判を利用できないとされています。
最初の資料は、査定書より登記事項証明書です
不動産会社へ価格だけ聞く前に、土地と建物の登記事項証明書を確認します。見るのは、共有者の氏名、住所、持分、相続登記の有無です。
次に、これまでの連絡記録を時系列で残します。いつ、どの住所へ、どの方法で連絡したか。返送されたのか、既読になったのか、反対の意思があったのか。創作や推測ではなく、確認できた事実だけを分けます。
司法書士や弁護士へ相談するときも、この2点があると「登記の問題」「所在調査」「交渉」のどこから始めるか判断しやすくなります。
持分だけ売れることと、急いで売るべきことは別です
自分の共有持分だけであれば、原則として自分の判断で譲渡を検討できます。ただし、家全体を売る場合とは買主の範囲も価格の見られ方も変わります。
まぶい不動産には、共有持分だけを売る方法を整理した記事があります。今回の記事との違いは、持分売却を選ぶ前に、連絡不能の種類を確定する点です。
沖縄では土地価格が上昇している地域もあります。不明者がいるから価値がないと決めるのではなく、土地・建物の価値と、権利整理に必要な時間・費用を別々に見ます。
共有者を待つ前に、名義と連絡記録を整理します
まぶい不動産では、連絡不能の共有者がいる物件について、まず登記名義、持分、相手の状態、買主候補の有無を整理します。
裁判手続の代理や法律判断は司法書士・弁護士の領域です。不動産として何を売るのかを切り分け、専門家へ渡す確認事項を整えます。
参考資料
法務省「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」
法務省 法制審議会資料「所在等不明共有者の持分の取得・譲渡」




